大阪家庭裁判所 昭和35年(家イ)379号 審判 1960年5月11日
申立人 李正(仮名) (国籍 朝鮮 住所 大阪市) 外五名
相手方 曾花子(仮名) (国籍 朝鮮 住所 大阪市)
主文
申立人等は相手方の子でないことを確認する。
理由
本件申立の実情は、申立人等は朝鮮の戸籍上李公竜と相手方との間の子として、それぞれ記載されているが、真実はそうではなく、右李公竜と申立外森田てつとの間に生まれた子である。すなわち李公竜は昭和五、六年頃曽花子と結婚をしたが、昭和八年頃から夫婦仲が悪く、そのうち森田てつとねんごろになり、同女との間に、次々と申立人等を出生したものであるところ、曽花子とは未だ離婚していなかつたので、申立人等を婚外子とするに忍びず、戸籍上曽花子との間の子として届出たものである。よつてこの度正しい戸籍に訂正する前提として本件申立に及んだ、と謂うのである。
本件申立どおり申立人等が相手方の子でないという合意が本件調停で成立したので、当裁判所は事実を調査したところ、申立人等、李公竜、森田てつの各戸籍謄本、助産婦中スヱの証明書(合計七通)及び当庁調査官黒川昭登並びに周東田重次の各調査の結果によれば、上記事実を窮知することができるから、上記合意は真実に合致したもので正当であることが認められる。
よつて当裁判所は調停委員三宅徳雄、同黒田初の各意見を聴いた上、家事審判法第二三条により、上記合意の相当する審判を為すべきものとし、主文のとおり審判する。
(家事審判官 安達竜雄)